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錫の豆皿づくり​

難易度 ★★★

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金属の「錫(スズ)」で小さな豆皿をつくります。

錫はとっても柔らかく熱伝導が良いのが特徴です。さびにくいので高級食器や酒器などにも使われる貴金属です。

体験教室では、金属を溶かして材料となる板をつくる「鋳金(ちゅうきん)」と金づちでたたいてお皿の形をつくる「鍛金(たんきん)」

という工芸技法を体験しながらオリジナル豆皿をつくります。

お料理の小皿やジュエリーなどの小物置きに最適!

ちょっとたいへんですがガンバリましょう!(^^)!

*使う材料と道具*

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・錫(お皿の材料になる金属材料です)

・アンビル(ホームセンターで手に入ります)

・金槌(特殊な金槌です。専門店※で購入して下さい)
・金切り鋏もしくはペンチ

・金属用ヤスリ(大きめのものがおススメ)

・ステンレスパッド(なるべく大きいもの、アルミはダメ)

・ボロキレ(古い肌着や手ぬぐいなど、タオル生地はダメ)

・金属磨き剤(ピカールがおススメ)

・Cクランプ(こぶし大くらいサイズのもの)

・木型(ぺニアを切り抜いたもの)

・鉄板2枚(木型より大きいもの、ピッタリの方が作業しやすい)

・計り

・コンロ(普通の家庭用のコンロでOK)

・お鍋(ステンレスか鉄、アルミはダメ)

などです。

あと、作業の場合はちょっと焦げても大丈夫なべニア板など(理想は不燃ボード)​を敷いて行ってください。

​金属加工専門の道具類の購入は「シーフォース」さんがネットで簡単に購入できるのでおススメです。​御徒町に店舗があるので除くとおもしろいですよ(^^♪

https://www.tools-shop.net/

*注意点*

難易度は★★★(マックス)です。

やけどやケガをしやすい作業もあるのでお家での作業は正直あまりお勧めできません(^^;

ただ、錫(すず)は加工がしやすい(溶かしたり、固めたり、曲げたり、削ったりがしやすい)材料なので「お皿」以外の形も工夫して簡単につくれます。

他のサイトなども参考にしてぜひチャレンジしてみてくださいね。

※くれぐれも安全第一で!!!特に溶けた錫に【水】を入れると爆発して飛び散ります。本当に危ないので水や飲み物などは同じ作業台には絶対に置かないでください。

*作り方*

まずは材料の紹介(^^♪

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今回使うのは「錫(すず)」という金属です。

写真左は錫の「チップ」で右が「ワイヤーカット」という材料。

他にも金の延べ棒みたいな形をした「インゴット」など形状によって呼び名が違います。

融点(溶ける温度)は177度で家庭用のコンロで簡単に溶かすことができます。(ちなにみ鉄は1538度)

高級な食器類にも使われる金属ですが、金槌でたたいたりして形を変えることも簡単なので、クラフトやアクセサリー作りの材料としてとても親しまれています。

材料の購入先は

ティンアロイ(https://www.tin-alloy.com/shopbrand/5/)

城南島のお隣の島、京浜島に工場があります。

錫の他にもいろいろな金属材料を取り扱っているのでぜひ一度のぞいてみてください。ネット販売で簡単に購入できますよ(^^♪

さて、

まずは材料を計量します。

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今回作るお皿は厚さが2~3ミリ、直径が10㎝程度ですが、このくらいの大きさであれば150グラムくらいの分量が調度良いです。

チップ材がひとつ50gなので3つで十分。

 

【材料はワイヤーカット材の方が溶かしやすいのでおススメです。

​今回は説明の為、形状が分かりやすいチップ材を使用しています。

​また、お皿の大きさはこのくらいが簡単にできるサイズの限界です(^^; これ以上大きいと失敗する確率大デス】

材料を量ったら、今度は「型」の準備をしましょう。

※作業者の指が赤いですがペンキです(^-^; ごめんなさい、、

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​型にはべニア板を糸鋸で切り抜いた「木型」を使います。

写真で右手に持っているものが木型です。

錫は融点が低いので型が木(燃えるもの)でも大丈夫。

べニアの厚みは2~3ミリの厚みが適当です。

【べニアの厚みは、あまり薄いと錫がきれいに流れないし、あんまり厚いとなかなか錫が固まりません。加工も大変です】

木型(くりぬいた部分)が丸底フラスコの形をしていますが、お皿として使うのは「丸い部分」だけ、「細長い部分(フラスコの口の部分)」は溶けた錫を流すための湯口(ゆぐち)として使います。

写真で左手に持っているの紙は習字用の「半紙」です。

この後、木型を鉄板ではさむのですが、鉄板は溶けた錫の「熱」をうばいやすく、型に流してる最中に錫が固まってしまい、きれいに錫を固めることができません。

そこで、錫からゆっくり熱を取っていく(徐冷する)ための「断熱材」として型と鉄板の間に挟みます。

​【鉄板はホームセンターでちょうど良いサイズを見つけてください。厚みは3~5㎜程度で十分です。木の板でも代用できますが、焦げやすくなるので十分注意してください】

まずは、木型を半分に折った半紙ではさみましょう。

半紙の表面が錫にも写るので、ザラザラ面を内側にすると型取りしたときの錫の表面が半光沢に、ツルツル面を内側にするとキラキラの光沢の板が出来あがります。これはお好みで。​

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木型を半紙ではさんだら上に鉄板を置きます。

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鉄板と木型は同じサイズにした方が作業がし易いです。

​鉄板を切るのは大変なので、手頃なサイズの鉄板を見つけたら、木型を鉄板のサイズに合わせた方が良いかもしれません(^^;

​鉄板は木型の湯口に半分くらい重ねるように置きます。

​鉄板を置いたら半紙を折返します。

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​木型の湯口が半分くらい見える良いにしましょう。

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側面を折って鉄板を包むようにします。

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反対側も折ったら裏返しにします。

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​よっこいしょ。

裏返したら、もう一枚の鉄板ではさみましょう。

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2枚目の鉄板は木型と同じ位置にぴったり合わせます。

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​木型を鉄板2枚ではさんだらクランプでしっかりと固定します。

​止める位置は鉄板の真ん中です。クランプの向きは木型が見えていない鉄板の方を持ちて側にして下さい。

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クランプはCクランプ(シークランプ)を使って下さい。ホームセンターの他、100円ショップなどにも置いてあります。

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ぐっぐっぐっ!!!

しっかり強く閉めて下さい。

​反対側も

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ぐっぐっぐっぐ!!!

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こんな感じ。

クランプで支えて型を斜めに置くようにします。この方が後で錫を流し込みやすいです。

鉄板で木型を挟むのは

・型を平らにするため

・型に流す錫の熱を逃がして冷やし固めるため

の2つが大きな理由です。

べニア板などでも代用できますが、なるべく鉄板がおススメです。

さて、型の準備ができたら、いよいよ錫を溶かして型に流し込みます。

★★★

ここからは、火を使ったりちょっと危険な作業になります。お子様は絶対に一人ではマネしないでね。大人も安全に十分気をつけて!

まずはコンロなどの道具を型と一緒にセットします。

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写真は右利き用のセットです。左利きの人は反対にして下さい。

 

型はクランプを支えにして45度より少しおこし気味に置きます。

この方がお鍋で溶かした錫を流しやすいです。

※写真で敷き忘れているのですが、型の下に必ずステンレスパッドを敷いてください。型から溢れた錫が机に流れるのを防ぎます。

コンロは家庭用カセットコンロです。(電気コンロでも可、IHはダメ)

 

お鍋はステンレス製か鉄なべを使って下さい。

​※アルミ鍋は錫と一緒に溶けてしまうので絶対に使わないで!!

​※溶けた金属に水を混ぜると爆発します。絶対に水気の近くでさぎょうしないで!!

初めに計量した錫を火にかけます。

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2~3分で溶けます。

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融点は低いといっても100度を超えているので、絶対に触らないで!

お鍋も暑いので注意してください。

​錫が溶けたらすぐに火を止めます。(ずっと温めていると空焚きになるので火にかけたら目を離さない様に!!)

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カチッ

 

火を止めたらすかさず型に錫を流し込みましょう。

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必ず型の下にステンレスパッドを敷いて、

​お鍋の口を木型の湯口部分に当てながらゆっくり、留めなく流していきます。

​流し終えたらお鍋をコンロに戻します。

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写真の様に型から錫がお触れた場合、下にステンレスパッドを敷いていないと溶けた錫が広がってしまい危ないです。

※​錫はすぐに固まりますが、まだまだ高温なので絶対に触らない様に!

型から溢れた部分は完全に固まるのを待って(1分もすれば固まります)ペンチで取り除きましょう。

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さらに5分程度待って型が手でさわれる程度に冷めたらクランプを外して型を解体します。

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中の錫はまだ熱いことがあるので触らない様に注意して下さい。

できてるかな~

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​!

​できたー!

​錫はまだ熱いかもしれないので、念のためペンチで型から外しましょう。

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こんなかんじ。

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半紙の表面(裏面)が転写されて半光沢(梨地)になっていますね(^^♪

やっとお皿の材料が出来ました!!

ここから、いよいよお皿をつくります!

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丸から飛び出している「湯口」はいらないのではさみで切り取ります。専用の金切りばさみを使用していますが、ペンチなどでもかまいません。

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切り取った塊はまた溶かしてて使えます。捨てないでね。

ハサミやペンチで切り取った場所は鋭くとがって危険です。

​ヤスリで削ってきれいにしましょう。

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金属加工専用の「金やすり」を使います。

注意したいのは「金やすり」は手前から奥に向かって押すようにかける「押しがけ」が基本です。

手前に引いてもヤスリはかからないので注意してくださいね。

湯口が付いていた部分にヤスリをかけたら、他の部分も指で触って引っかかる所がないか調べましょう。

引っかかる部分は同じようにしっかりヤスリをかけてキレイにしておいてください。

​ヤスリをかけ終わって材料の準備ができたらお皿の形を作ります。

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まずは材料の持ち方。

この後、カナヅチで材料をたたいていくので、指を打ってしまわない様になるべく「はじっこ」をもちましょう。

おせんべいやクッキーをつまむような感じです。

 

材料を載せている台は「アンビル」「金床(かなどこ)」と呼ばれる固い金属の塊です。

(写真に写っているものは「レールアンビル」とよばれる鉄道のレールを加工した道具)

作業中はアンビルの上に指がかからない様に心がけましょう。

​材料をきちんと持てたらカナヅチでたたき始めます。

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まずは材料の真ん中あたりを20回~30回くらいたたきます。

​最初は練習のつもりで、しっかり狙ったところをたたけているか、カナヅチの跡がしかっり材料についているか確認しながら、慎重にたたいてみてくださいね。

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お皿の真ん中2~3㎝くらいをまんべんなくたたいてみて下しあ。

​お皿を裏返してウラ側にもまんべんなくカナヅチでたたいた後がのこっていたら成功です。

跡が残っていない場合は少したたき方が弱いかも、、

​もう少し力を入れてたたいてみましょう。

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もし跡が残っていない場合は少したたき方が弱いかも、、

​もう少し力を入れてたたいてみましょう。

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お皿の真ん中をしっかりたたけたら次はお皿を深くする作業です。

まずは、お皿をアンビルの真ん中に置いて手前に傾けて下さい。

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どのくらい傾ければ良いのかは、先ほどカナヅチでたたいたところの一番外側をカナヅチでグッと押さえてみてください。

自然にお皿が傾いて止まるはずです。

​この傾きのまま、先ほどと同じようにお皿の端を指でもって支えて下さい。

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お皿を深くする作業で難しいのは、お皿の傾きを同じままでお皿をクルクル回しながら金づちでたたかなくてはいけない事。

カナヅチはずっと同じ場所(時計でいうと6時のところ)に振り下ろして、お皿を回してたたく場所を少しずつ変えていきます。

この時、お皿はいっぺんに回しすぎずに少しずつ、クックックッっと時計の秒針が動くように回すのがコツです。

最初にお皿の自分から一番遠いところ(時計でいうと12時ところ)を持って、脇を少しづつ締めるようにして回して行きましょう。

一度に回す量はカナヅチで3回たたく分くらいが限界。

3回まわすとたぶん脇が締まりきってそれ以上まわせないと思います。

​そしたら、もう一度お皿を持つ場所を持ち換えて(お皿の自分から一番遠いところを持って)、ふたたびお皿を回しながらカナヅチでたたきましょう。

​一周たたきおわったら休憩。

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カナヅチは真っすぐ、慎重に、隙間なくたたくようにしてください。お皿についたカナヅチの跡を「槌目(つちめ)」と言います。

​この槌目が同じ大きさで隙間なくキレイな模様でついていると出来上がったお皿が恰好いいです。

さぁ!また、一周、外側をたたいていきましょう!

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この繰り返しで一番外側まで順番にたたいていいます。

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外側になるにつれて、お皿が自然に立ち上がってくるはずです。

​その分、傾きを同じにするのが難しく、お皿を持つ手も疲れてくるのでがんばって!

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できた~~~。裏もきれいです(^^♪

最後の周(お皿のフチ)は特に慎重に、丁寧にたたきましょう。

​途中の槌目がバラバラでも、お皿のフチが丁寧に仕上がっていると出来栄えが全然違います。

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最後に表面を磨いて仕上げます。

使うのは金属磨き剤のその名も「ピカール」

​布につける量は少しで十分。

缶の口を布で押さえて逆さまにすると必要な分だけ布に磨き剤が付きますよ。

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磨けが磨くほどピカピカになります!

​磨き剤がお皿に残らない様にしっかり磨きましょう!

頑張って!

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やっと完成!お疲れ様でした~。

磨ぎ剤は少し臭いが残るので、最後に食器用洗剤でしっかり洗ってから使って下さいネ。

※洗うときは傷がつきやすいので柔らかいスポンジで洗ってください。

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